ダブルピース日記~推しに健やかであってほしい~

脳直で物を言う地方在住の半茶の間。2018年は遠征できないので何も口を出す権利がありません

「ヒルナンデス」を見てハンドメイドに何か感じた人へ

 
ヒルナンデス」を出勤前に30分くらい見る習慣があるんですけど、今日はいつものてんやわんやなクッキングではなく「ハンドメイド」を取り扱ってた。
見ていたのは多分最初の紹介が終わったくらい、スマホケースの収益紹介が終わったあたりからネックレス制作体験くらいまでなので、
取りこぼしとか見ていない場所での補足があったらすみません。
ほんとはこういう一部分だけ見てものをいうのってよくないんですけど、「炎上するだろこれは」と思ってたらやっぱりやや炎上してたので書きに来ました。
 
特集を組まれていたのは、MAXで「100万円の収益がある副業主婦」あたりだったと思う。
その前に、実際に作ってみて商品を売って、売れたかどうかとか。
 
前置きさせてもらうと私はハンドメイド作家ではないし、作り手側としてモノを作って頒布するというのは紙媒体の同人誌くらいしかない。
ただ職業が小売店なので、当然商品の卸価格とか、利益率とかも見ている(絶対に言わねえけどな)
仕事で扱うのは、会社、業者、生産者それぞれの人とのやりとりだ。
でもその中でも「これってこんな卸価格なの?それじゃあどれだけ生産すれば、会社ひとつをまわせる利益が出るの?」と首を傾げることも多い。
今日するのはそれをギュっと小さく圧縮した「ハンドメイド」の界隈の話です。
 
私がやっている(やっていた)同人活動というのは二次創作だと「利益を出してはいけない」というのが暗黙のルール、守るべき前提です。
なぜかというと「他人が持っている権利物を使っているから(今現在は版元が目をつぶっていてくれているから活動できている)」の一点にあるんですが、
これの「利益」というのも非常に曖昧なラインで、
印刷代が10000円で50冊の本を出して、それを一冊500円で販売すると一冊のコストは200円、完売したら25000円。
単純計算で、印刷代と頒布価格だと15000円のプラスが出ます。
でも、頒布するためには参加費用を支払って「頒布できるイベント」に参加する必要があります。
地方の1000円から都会の5000円~9000円までこれは様々ですが、参加費5000円だとして、
都内に住んでいても交通費で1000円くらい、残りは9000円ですよね。
でも宅配便で搬入、搬出したり、ペーパーとかを印刷したりするとほとんど残りません。
地方からの参加だとそれどころかマイナスです。
ここらへんでうまくやって、「利益なし」になってこそセーフ、みたいな所があると思います。
ただこれは、「人の権利物」でやってる場合です。
 
ただ「自分が原作者(権利者)」である「一次創作」、自分で雑貨を制作販売している「ハンドメイド作家」は、マチュアであってもイベントへの参加形態がどうであろうと、
利益追求をしても問題ありません。だって権利者は自分だもん。
 
今回問題だなと思ったのはこの「利益」の部分。
番組では「副業で稼ぐ主婦」というカテゴライズでした。
ということは「利益が出る」のが前提です。
ただ大体の場合目に付く見出しは、「売上100万円」など。
物を作るというのは「コスト」がかかります。売上は確かに100万円かもしれない。
これは滅茶苦茶すごい。もはやプロ。オタク界隈でいう「神」。
しかしその売上のうちの大半はコストだと思っても間違いではありません。
ダイソーで材料を揃えて」「まとめて購入で安く」というのは、コストを下げるという一点においては間違いではないでしょう。
 
ただ、安いのにはワケがあると思ってください。
「一般流通している商品と同じ品質だけど入り数が少ない」「質が低い」という理由がちゃんとついてきます。(デッドストックや倉庫買取品など特殊ケースは除く)
「良質なものを安く」が浸透していますが「安かろうは悪かろう」が当然だと思うだけ思っておかないと、材料などの仕入れには罠とリスクがついて回ります。
作家・アーティストとして成立している人は自分で買い付けに行ったり問屋さんと交渉したり、大口購入をシェアしたりしてコストを下げているかと思います。
質が悪いと、行き着く先は変質と破損、そして「あの人のところは壊れやすい」「ハンドメイドは壊れやすい」といった風評ですね。これ即ち死です。
 
大きく出されたテロップには「100円のパーツ」「1個辺り3円のパーツ」を「繋ぐだけ」、とにかく手軽さとローコストさを押し出していました。
入門編としてはいいと思います。
作家側のみが使うパーツを置くためのトレイとか材料を入れるケースとかペンとかハサミとかペンチとかの道具類は別に100円でもなんでも良いと思いますし
最近のダイソーはレジン液なども販売していて(これについては後半で書きます)、
「やってみたい」と思う人の挑戦へのハードルを下げて好奇心を殺さないいいきっかけになっていると思っています。
 
ただそれと同じ並びで半ばプロとしてやっている人を並べたのはよくない。
だって多分そのプロの人はその材料を使って利益を得てはいないし、それでいいとも思ってないでしょう。
対価を得る「商品」を構成する材料としては不適当だと思います。
 
1個5円のパーツを10個、150円のメインのモチーフを1個、100円のチェーンを一本、1個辺り10円の金具が4つ(適当です)
これで構成されたアクセサリーは「原価が340円」です。
これを手数料10%の場所で1000円で売ると、手元に来るのは900円。
900-340=560円
しかしこれを梱包して発送しなければなりません。送料別として、まとめて購入した資材で破損防止の梱包をして一件あたり50円。
これで手元に残るのは510円です。
材料費と価格的にごくシンプルなアクセサリーと想定しますが、これ1つを作るのに一時間かかったとするとあなたの時給は510円です。
副業(仕事)としてやるには最低賃金を割りますよね。
 
ここに、梱包・発送、個人情報の取扱いと、収益の事務作業、備品や材料の買出しの時間も掛かってきます。
イベントに出展される方は現地への商品と什器の搬入もありますね
 
番組で紹介されたように「一攫千金」というには、余りにもコストがかかりすぎるものです。
紹介された作家さんはあの内容の事前説明を受けて納得して仕事を請けたのかが心配になってくるレベルです。
 
 
しかも、1つ10円のパーツがあったとして、まとめて購入で単価を下げようとするとそれを1つ10円にするにはいくつ購入したらいいでしょうか?
大量生産品が安いのは、大量生産しているからです。分母が大きいほど価格は下がります。
1個10円のパーツも、100個買うと5円になるかもしれません。でも100個買わないとそうはなりません。
前述の例だと、1000円の商品で差し引きの利益で約500円を得るために一時間かかってます、
売上が5000円なら1時間で10個作らなければいけません。
より質のいい物を使って、長期の実用に耐えるものを制作しようとすればもっとコストがかかって、商品価格を上げる必要が有るはずです。
 
自分以外に家計を支える人がいたり、「趣味程度、利益は求めません」だったり、「自分の作ったものが売れた」という承認欲求が有る人は
これは私の偏見ですが、むやみに価格を下げがちです。
相場って、100人が売っているものの60人がつけている値段に偏るものだと思ってます。
100人のうち50人が100円で売っていて、30人が200円、20人が500円で売っていたら、多分相場は100円で500円のものは高級品でしょう。
 
きついこと言いますけど、採算度外視の素人の粗悪品のせいで価格崩壊起こされると迷惑なんですよね。何でも。
 
安いほうに流れて適正価格の作家さんの利益がもし減って、活動に支障が出てしまったらそれで終わりなんですよね。
会社じゃなくて個人ですから。いつなくなるか分かりませんから。利益面でもですけど本人の気力もありますから。
私一人でその人の作品を全部購入したりパトロンになったりしていれば別ですけど、無理じゃん?
買う?ダイソーの100円か200円かのスマホカバーにいつ腐るかもわからんドライフルーツくっつけたやつ。
(レジンとドライフルーツに関しては次の記事で書きます)
 
テレビがいつもやる手段ですが、とにかく良いところしか紹介していません。
作った商品が絶対に売れるかというとそうでもありません。
手数料を取らないアプリやサービスでしたら、当然出品者も利益率を上げるために利用するでしょう。
手数料10%のアプリにいる100人の作家の作品が売れる確立と、手数料0円のアプリにいる1000人の作家の作品が売れる確立ってどっちが高いですか?
今日、私が見た範囲で紹介されていたのはリスクがほぼゼロに近いやり方でした。
何も知らずに見た人は「ハンドメイドは簡単」「ハンドメイドは安い」「趣味でラクラクと稼げる」と思ってしまうかもしれません。
 
これは今現在、高い水準で商売としてやっている人を脅かしかねないことです。
「テレビであれだけ安くやってたのにこの値段?高すぎる!安くして!」と言い出すんです。
 
私にも、「いいなあ」と思うけど、ちょっと手が出せない価格帯の陶器作家さんがいます。
財布の中身と相談して、「ちょっときついな」と思うのと、「これにこの値段は払えない」というのとは別物です。
前者は「欲しいけど金がないぜ」って人で、後者は「ここまでの金を出したくはないから私の財布の中身に合うまで値段を下げろ」って人です。
有る日作家さんがツイートで「値切られて精神的にきつい」みたいなことをぼやいてました。じゃあ買うなとしか思いませんでした。
今日の放送はそういうのを大量生産しかねないなって思いました。
 
まあその価格で買ってもらえないなら、その価格で買ってくれる顧客に向けて商売をすればいいんですよね
日本の国営カジノも「入場料は六千円」って案があるみたいです。
つまり、ざっくり言うと「入場料に六千円を払えない人間は客ではない」と取ることもできる。これがボーダーラインなんですよね。
一日をパチスロで潰して台バンしているような人種が来ることは想定していませんよ、という予防線にもあたると思います。
でもそういう顧客ばかりではないですよね。難しいところです。世間はピラミッド構造になってますから。
 
前置きにも有るとおりに私は作家でもなんでもないし、どちらかというと購入者側です。
流通に載せられるほどの大量生産はできないけど、個人の完成と私の欲求とが合致する商品を見つけたときの喜びは大きいし、提示された値段で購入させて貰っています。
ただ、常に崩壊と隣り合わせの界隈だなといつも思っているので以上のような記事となりました。
不当な価格設定は問題外ですが、提示された金額を自分に合わせて値切るのは普通に失礼です。「その価値は無い」って言ってるようなもんです。
 
夢が無いわけでもないです。それまでまったく売れなかったのに、有る日突然バズるかもしれない。
有名な人の目に留まって急に売れっ子になるかもしれない。
でも、そんなの一握り。ものづくりはトライ&エラー、
結果重視の社会では無視されがちですけど、「出来るようになるまでかかった時間」というものが確実にあります。
それは「完成するまでの時間」でもあり、「今の品質に行き着くまでにかかった時間」でもあります
買出しも行かないといけないし、本業との兼ね合いも有るし、肩こるし目も疲れるし指も痛いし、ミシンなら使える時間も限られるかもしれないし
もうなんかアイデアなんにも浮かばないし、人が考えたアイデアとかデザインを平気でパクる奴いるし
 
ものづくりのハードルを下げるのは結構。楽しめる人が増えるのも結構。
単純に、「私にも出来そう」と、新しいことへの挑戦の一歩としてはいい特集だったと思います。
「一攫千金」「副業で高収入」は、半ば誤りです。あの方々は副業とは言っていますが、かなりの時間を費やしているはずです。
価値を見誤らないで下さい。そして人に押し付けるようなことはしないで下さい。
 
とりあえずこの記事は「お金」についてでした。
「材料」「危険性」については次の記事で書きます。
大げさに書きますけど、大げさに思ってた方がいいですよ。マジで。
最悪、取り返しがつかなくなります。
じゃあな!